苦しさを知る人だけが、本当の思いやりの心を持つ。
永田町にある自民党本部が日本の政治を動かすのだ!
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第三章・・・「2012年。山梨」
衆議院山梨1区の支部長の座を奪わた赤池誠章は、交代要員になった宮川典子の選挙応援をした後、政治から足を洗う覚悟を決めていた。そんな赤池に、長年苦労をともにしてきた後援会員たちは、「先生、政治をやめてしまうずらか。日本を売国奴の連中の好き勝手にさせるずらか」と迫る。持って行き場のない苦しさに痛めつけられる赤池。その時だった。赤池後援会の会長の天野丈重が血相を変えて飛び込んできた。「先生、電話ずら! 本人からずら!」http://ameblo.jp/fuuko-protector/entry-11579209744.html
第四章・・・「2012年。東京」
赤池:「もしもし、赤池ですが・・・」
電話の声: 「赤池さん、お元気ですか?」
赤池には、それが誰であるかがすぐに分かった。それは誰あろう、安部晋三本人の声だった。
安倍:「赤池さん、すまない。今、フェイスブックの友人から連絡もらうまで、赤池さんが、山梨1区の候補者から降ろされたことを知らなかった」
安倍はこの頃、自民党総裁選挙への出馬が取りざたされていた。しかし、下馬評では石原伸晃と石破茂の一騎打ちの公算が強く、安倍は良くても3位、悪ければ4位か5位にしかなれず、派閥領袖からは、「今回は見送るべき」との圧力を受けていた。安倍は一介のヒラ議員でしかなかったのだ。
赤池:「安倍さん、こちらこそ申し訳ないです。今、お忙しい中にもかかわらず気にかけていただいて恐縮です。」
安倍:「赤池さん、僕はね、赤池さんは日本に必要な政治家だと確信しているの。今回は悔しい思いをするかもしれないけど、必ず、あなたにはチャンスがめぐってくるから、今回だけは我慢してください。臥薪嘗胆ですからね。」
赤池には、安倍のその言葉で十分だった。赤池は、「士は己を知る者のために死す」という言葉を思い出していた。
東京の永田町に自民党本部がある。ここは日本の政治の中枢である。 奥まった場所にある選対局長室に河村建夫はいた。今、安倍からの猛抗議を受けたばかりだ。河村は、安部よりも12歳年長で、旧山口1区では3年先輩にはなるが、いかんせん、安倍は生まれながらの大店の御曹司であり、河村は大番頭にしか過ぎない。安倍からの注文は絶対に断れないのだ。 ふ~とため息をついてから、河村は議員会館に電話を入れた。
河村:「二階先生ですか。 ええ、今、安倍にねじ込まれました。参議院選挙で公認しろと。 はい、山梨の件。ええ、え!公認してから・・・すですか。・・・・はい、わかりました。では失礼します。」
河村:「公認してからか・・・・す」
河村のメガネの奥の瞳がギラリと光った。河村は「別の場所」に電話をかけた。
つづく By なでしこりん
この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。
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ドラマ・2013参院選、「208319の奇跡、赤池誠章・物語」その④、電話
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