「もりやとあかいけでお願いしますね」
「え、もりやと自民党で頼まれているんですが」
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第七章・・・「2013年。夏の山梨」
「なんとしてでもここ山梨から4万、全国から3万で合わせて7万票出さんことには勝負にはならん」 そう票読みをしていた赤池。しかし、地元の「推薦」さえ限られた数しか集まらない。全国どころか、地元の票固めさえできない状態に、赤池のあせりは募るばかりだった。
http://ameblo.jp/fuuko-protector/entry-11580865906.html
第八章・・・「2013年。夏の山梨」
会社勤めをしたことのある人は、職場の「互助会」に入り、毎月、一定額を納め、冠婚葬祭の際には、お祝いや香典を受け取った経験がある人もいるだろう。掛け金が残った場合には、「歓送迎会」の費用として使われることも多い。 日本にはこういう互助制度が鎌倉時代からあり、「無尽講」とか「頼母子講」と呼ばれ、戦後は「信用組合」に発展改組したものもある。赤池誠章の地元、山梨では、今でも「無尽(むじん)」と呼ばれる講(集団)が地域や職場単位で多数存在する。山梨を代表する政治家・金丸信も、山梨の「無尽」を選挙後援会として利用し、成功した人物の一人である。ウィキペディアの「無尽」の項には、面白いことに、山梨1区の「宮川典子」の名前が唐突に登場する。宮川は、無尽を選挙活動に利用している代表的代議士だというのだ。「無尽」にはお酒が付き物だけに、膨大な参加費と酒席が多いので、宮川の体が心配になってくる。新人議員の苦労は尽きない。
自民党1年生議員の懇親会に安倍総理も参加!(これは宮川議員が公開した写真です)
赤池の選挙事務所では近所の主婦やボランティアの学生によって、「電話作戦」が行われていた。
主婦;「赤池まさあきの選挙事務所の者でございます。はい、お世話になっております。ええ、今回は全国区で、ええ、いえ、自民党ではなく、あかいけと、はい、え! そうなんですか? ええ、あかいけと書いていただけると助かります。はい、よろしくお願いいたします」
ボランティアの学生:「どうしたんですか? 浮かない顔で・・・」
主婦:「うん、今の人、『選挙区はもりや、比例は自民党』って書いてと言われたって言ってたの。」
ボランティア:「それ、私もありました。私が電話したお宅も、あかいけじゃなく自民党って書くように言われたとか」
主婦:「同じ自民党の候補者なのになんでなのかな・・・・・」
赤池も「その異変」に気づいていた。支持者に会っても、申し訳なそうな顔をする人たちがいたのだ。
赤池:「何が起こっているんだ。俺の周りで一体何が・・・・・」
選挙戦はもう半分が終わろうとしていた。 赤池の前からは富士の頂はまったく見えなかった。
つづく By なでしこりん
この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。